五月人形は誰が買うという決まりはある?地域別の風習も解説

五月人形を飾る意味

男の子が生まれた家庭では、5月5日の端午の節句には内飾りとして「五月人形」を飾ります。当たり前のように飾っている五月人形ですが、昔から引き継がれる大事な言い伝えがあります。

五月人形を飾る「端午の節句」は、「五節句」のうちのひとつです。もともと中国の風習で、季節の変わり目は邪気が寄ってきやすいので、季節のものを飾り、厄払いをしていたのが始まりです。

日本にも伝わったその風習は、次第に鎧や兜を飾るようになっていきます。長い武家社会の中で、鎧や兜は男子にとってとても大切なものでした。鎧や兜は「戦の道具」というイメージが強いですが、武士にとっては「自分の身を護る大事な道具」であり、精神的なシンボルとして、また大切な「お護り」としての意味があるのです。

現代では、その「お護り」の意味が重視されて、お子様の誕生を祝い、お子様を病気や事故などの災厄から身を守る「お守り」として飾るようになりました。

つまり、五月人形はお子様が人生の幸福に恵まれますようにと願いが込められているのです。

五月人形は誰が買うという決まりはある?地域別の風習も解説

五月人形は、母方の祖父母が買うということが一般的でした。

昔は、節句人形は母方の実家が贈るという習慣がありました。娘が嫁に行くとなかなか会えなくなるので、孫が生まれると節句人形を買い、嫁ぎ先に持って会いに行っていたのです。

現代では、嫁ぎ先の両親と同居している家庭は少なくなっていますので、なかなか会えないということはなくなってきているでしょう。そのようなこともあり、現代では誰が買わなくてはいけないといったような決まりはありません。それぞれの家庭の事情を考慮して相談して決めると良いでしょう。

最近では、かわいいお子様のためにという意味で母方と父方の両家で折半したり、お祝い金で若夫婦が購入するといったケースが多いようです。両家で内飾り(鎧、兜)、外飾りの鯉のぼりを分担して贈るケースもあるようです。

地域によって違いがあることを覚えておきましょう

しかし、注意しなくてはならないことがあります。「誰が買うのか」については地域によって違いがあるのです。トラブルを防ぐためにも、自分の住んでいる地域や、嫁ぎ先の地域にはどんな風習があるのかを調べておく必要があります。

例えば、北海道と関東では五月人形は父方の実家が贈ることが多く、関西と九州では母方の実家が贈ることが多いようです。

このように大きく分類した地域だけではなく、さらに市町村単位でも風習がある場所や、さらには家系に伝わる独自のしきたりがある場合も注意が必要です。親戚同士のこれからのお付き合いもあることなので事前に調べておきましょう。

また、仲人さんや親戚、友人は、脇飾りとなる鍾馗(しょうき)や金太郎、桃太郎といった人形を贈るのが一般的です。

祖父母に五月人形を買ってもらう時に心がけたいこと

まず、やって欲しい大事なことは、夫婦でよく話し合うことです。どちらの両親に買ってもらうのか、予算をどのくらいにするのか、鎧飾りなのか兜飾りなのか、大きさはどのくらいなのかなどです。近年では、住宅事情により、コンパクトなサイズを購入される家庭が増えてきています。予算も大事ですが、飾る場所を決めることも大事になってきます。

よくあるのが、自分たちは子供に五月人形は飾らない、または自分たちで選んで購入しようと思っていたのに、祖父母が相談もなしに突然送ってきて、気に入らなかったり、飾る場所がなくて困ったというケースです。

このようなトラブルを防ぐためには

お子様が生まれたら必ずやってくる初節句です。このようなトラブルにならないようにする為にも、やはり夫婦で話し合いが必要です。五月人形はお店にもよりますが、端午の節句の約2ヶ月ほど前からお店に飾られます。

お店に並び始める前には夫婦で話し合い、両親に自分たちの考えを伝えることをおすすめします。早ければ早いほど良いでしょう。

もちろん、お子様のお父様お母様の意見を尊重したいところですが、お孫さんが生まれてうれしい祖父母の気持ちも汲み取り、和やかに話が進むようにしたいですね。

お下がりでも大丈夫?次男、三男にも五月人形を買うべきか

「お兄ちゃんのがあるから…」「パパのがあるからそれを引き継ごう」などと思うかもしれませんが、それはおすすめしていません。

なぜなら、昔から五月人形は、お子様の分身で一生のお守りだからです。お子様の厄災を「身代わり」となって引き受けてくれるのです。五月人形を引き継ぐと、それまでに受けた災厄も引き継いでしまうといわれています。

神社などで購入するお守りも使い回しはしませんよね?その考えと同じで、五月人形も一人ひとりのお守りなので、下に弟さんが生まれたら、弟さんの分も用意してあげてください。

もし、弟さんの分を飾るスペースがなかったり、いろいろな事情で飾れないといった場合には、小さめの鎧兜や、ガラスケースに入った金太郎や桃太郎などもございます。なにか「お守り」になるお飾りを用意してあげてください。