もくじ
五月人形として兜を飾る意味とは
長い武家社会の中で、鎧や兜は男子にとって非常に大切なものでした。「戦の道具」というイメージが強い鎧や兜ですが、武士にとっては「自分の身を守る大事な道具」であり大切な「お守り」なのです。
現代でもその精神を大事にし、五月人形として鎧や兜を飾るようになりました。つまり、鎧や兜が身を守ってくれ、無事に成長し、強く立派な男子となりますように、との願いを込めて飾るのです。また、受験や就職、結婚など人生の幸福にも恵まれますようにという思いも込められています。
兜飾りの種類や特徴を徹底解説!
兜飾りは色々な飾り方の種類があります。
◆平飾り
平台に兜を飾り、後ろには屏風を立てます
◆収納飾り
兜や弓太刀などが飾り台となる収納箱にしまうことが出来ます
◆着用飾り
3〜5歳のお子様が実際にかぶることが出来ます
◆ケース飾り
兜や弓太刀など全てが台に固定されていてガラスなどのケースに入っています
兜の構造を知ろう!
◆鍬形(くわがた)
兜の前面に角のように二本立つ金属のこと
くわいの葉に似ていることからこのように呼ばれているといわれている
◆鍬形台(くわがただい)
鍬形を差す台のこと
◆吹返し(ふきかえし)
兜の左右にあり、刀から顔を守るため、美しい細工を見せるためにある
◆しころ
兜のうしろ部分に垂れて首筋を覆う部分の名称
◆忍緒(しのびお)
兜を頭に固定するための紐のこと
◆袱紗(ふくさ)
兜を飾る芯木(しんぎ)にかける布のこと
◆櫃(ひつ)
兜をのせる容器のこと
普通は6本脚の唐櫃形
兜飾りの特徴と価格帯
兜は鎧とは違い気軽に飾れるコンパクトさがあります。シンプルな飾りですが、初節句のお祝いの役目はきちんと果たしてくれます。
価格は兜だけですと、4万円〜あります。高級品になると30万円近くする兜もあります。飾り台や屏風、弓太刀のセットですと7万〜40万円で、人気の価格帯は10万〜15万円です。
ケース飾りの価格は3万〜10万円で、人気の価格帯は5万〜8万円です。
五月人形の兜飾りで人気の武将5人
ご両親の憧れの武将を飾りたい、歴史上の人物のように活躍して欲しいと願って戦国時代に活躍した武将の兜を飾りたいといった方もいると思います。
五月人形の兜は種類が多くて迷ってしまいますが、「こんな人になって欲しい」と願いがあるようでしたら、武将の人柄や功績を調べて理想の人物を選んでも良いかもしれませんね。
倉片人形で特に人気のある戦国武将の兜を、特徴や功績を解説しながらご紹介します。
伊達政宗
陸奥仙台藩の初代藩主として東北の繁栄を築きました。軍事的な才能に恵まれていましたが、一人前の武将になり天下取りに参戦しようとしたときには、豊臣秀吉がほぼ天下統一をしていました。生まれるのがあと10年、20年早ければ天下人になっていたかもしれないといわれています。
映画「スターウォーズ」のダースベイダーのデザインモデルは政宗の漆黒の鎧兜ということは有名な話です。
兜は、黒兜で大きな三日月の前立が添えてあります。三日月の前立に決めたのは父・輝宗だったといわれています。政宗が生まれたときの旗印を太陽をモチーフにした「白地に赤丸」としたので、前立は、その太陽と合わせて月に決めたのです。父は息子のシンボルを天体2つにすることによって天の神様の御加護を願ったのでしょう。
上杉謙信
越後国の武将・大名で「越後の虎」と呼ばれました。毘沙門天の転生と自ら信じており、義のために戦いに明け暮れ、生涯70回の戦のうち、負けた戦はわずか2回というこの戦の強さから「軍神」と称されました。
兜の前立は、三日月と日輪の両方が付いています。これは、上杉謙信が当時信仰していた「妙見信仰(みょうけんしんこう)」の教えである「太陽と月」をモチーフにしているといわれています。これは、「勝利や護身」の加護があるとされています。
徳川家康
家康は、関ケ原の戦いに勝つことにより、応仁の乱以降100年以上続いた乱世に終止符を打ち264年続く江戸幕府を開いた天下人です。「鳴かぬなら 泣くまで待とう ホトトギス」の句に例えられるように忍耐強い人物だったようです。
兜は特徴的な大黒頭巾形をしています。大黒天の頭巾のような形をしていることからそのように呼ばれています。歯朶(シダ)の葉の前立が添えてあることも特徴です。
伊予札黒糸威胴丸具足(いよざねくろいとおどしどうまるぐそく)は家康が関ケ原の戦いで着用し、大阪の陣の際に身近に置いて勝利を得たことから吉祥の鎧として尊ばれました。
真田幸村
安土桃山時代から江戸時代初期に活躍した武将です。関ケ原の戦いでは敗北はしましたが、真田昌幸・幸村親子の天才的な戦略で東軍の兵力を3万8千もカットした功績は称賛されています。
幸村は徳川方に寝返ることも出来たはずですが、豊臣方を裏切ることはせずに義を貫き通したことも人気の理由のひとつでしょう。
兜の前立は有名な「六文銭」、脇立てには「鹿の角」が一対備え付けられています。「六文銭」は、「三途の川の渡し賃」で幸村は死ぬ覚悟をして戦に挑んでいたことが分かります。「鹿の角」は鹿が古くから神の使いとして大切にされてきたからといわれています。
織田信長
戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。武将というと戦のイメージが強いですが、信長は商人の生活を考えた政策を行ったことでも有名です。経済的な感覚に優れていて「楽市・楽座」を行います。
「楽市・楽座」とは「昔からのやり方に縛られず、誰でも自由に商売できる制度」です。また、関所を廃止した事によって交通料を払う必要がなくなり、人とモノが自由に行き来できるようにしました。
400年経った今でも信長のリーダーシップに憧れる人は多く、人気の理由は領民のためを思った心が歴史から伝わってくるからなのではないでしょうか。
兜の前立は織田家紋の「織田木瓜」と「旭日昇天」が添えてあります。「木瓜紋」は鳥の卵が入った巣を表していて、子孫繁栄を意味しています。
倉片人形がおすすめする兜飾り5選
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兜飾りの処分は人形供養がおすすめ
五月人形は、兜が身を守って、災いがふりかからないようにお子様の「お守り」として飾ります。お子様の身を守り、災厄を引き受けてくれた五月人形は、役目を終えたら人形供養をしてください。
一人ひとつの「お守り」ですので他の人へ譲ること、一般のゴミと一緒に処分することは五月人形を飾る意味を考えると適切とはいえません。
人形に対して「今まで守ってくれてありがとう」という感謝の気持ちを込めて、ぜひ人形供養をお願いします。
人形供養について詳しくはこちらの記事で解説しています。