雛人形の名前、それぞれの役割と持ち物の意味をまとめました
雛人形には宮廷の様々な役割を持った人物が飾られます。どのような人物を飾るのか、持っている道具も含めて役割をご紹介します。
親王
内裏雛(だいりびな)の別名で、男女一対で親王と呼んでいます。雛人形の親王は天皇と皇后をモデルにしているといわれています。
殿が持つ笏(しゃく)の裏側には、儀式の進行や出席者の名前が貼られていて、姫が持つ扇の裏側には、儀式のお作法などが貼られていたそうです。また、扇は、女性が顔を隠すためにも持っていたそうです。宮中では、女性が人前で顔を見せることは良くないこととされていたからです。
三人官女
姫のお付きの女官です。ただのお世話係とは違って、生活管理から雑務まで行い非常に仕事の出来る女性であり、優秀な女性のみがなれたそうです。
お雛様は、宮中の結婚式の様子を模したものです。三人官女は女雛が小さい頃からお世話をしていますので、結婚式でもサポートをしたり、お酒を注いだりする役割があります。
向かって左側の官女が持つ加えの銚子は、長柄銚子にお酒を注ぐ柄のない金属の手持ちタイプの酒器のことです。真ん中に座っている官女の持つ三方は、盃を乗せる台のことです。向かって右側の官女が持つ長柄銚子は、長い柄のついた酒器で、三方の盃に白酒を注ぐ道具のことです。
三人官女についてはこちらのページでも詳しく解説しています。
五人囃子(ごにんばやし)
お雛様を華やかで楽しい雰囲気にしてくれる五人囃子は謡に笛、太鼓の五人組です。よくみるとこの五人囃子は雛壇に並んでいる他の人たちに比べると幼い顔をしています。それは元服前の11歳から16歳の少年だからです。少年楽団員ということですね。
髪は結ばずおかっぱ頭で侍烏帽子(さむらいえぼし)を被っているこの格好は、元服前の印で、幼い頃からの練習の成果を結婚式で披露しています。
五人囃子についてはこちらのページでも詳しく解説しています。
随身(ずいじん)
別名で矢大臣とも呼ばれるこちらは、弓矢を持った老人と若者の二人一組です。宮廷を警護する儀仗(ぎじょう)姿の武官です。儀仗とは儀式に用いる装飾的な武器のことです。
主にお殿様が外出する時にお守りしていました。俗に左大臣(老人)、右大臣(若者)ともいいます。二人が持つ弓矢は、礼装にふさわしい装飾がほどこされた美しいものです。
仕丁(しちょう)
怒り、泣き、笑いの表情から三人上戸とも呼ばれる三人組です。徭役(ようえき)として、宮廷の雑用係をしています。近代以前に君主が人民を無報酬で働かせていたことを徭役といいます。
向かって左側の怒っている表情の仕丁は台笠(だいがさ)を持っています。台笠は日傘です。真ん中の泣いている表情の仕丁は沓台(くつだい)を持っています。沓台は靴を置く台です。向かって右側の笑っている仕丁は立傘を持っています。立傘は雨傘です。
随身と仕丁についてはこちらのページでも詳しく解説しています。
お雛道具の名前と役割
雛人形には、嫁入り道具などの様々なお道具が飾られています。小さくても精巧につくられているので、見ているだけでも楽しいですよね。そんなお道具にはどのような種類があるのか紹介していきます。
屏風
定番ともいえる金屏風は「二人の未来が光り輝くように」との願いが込められています。現在は、金屏風の他にも、漆塗り、黒塗り、木製、刺繍など様々なデザインがありますので、お家の雰囲気に合った屏風が選びやすくなったといえます。
ぼんぼり
ぼんぼりは、もともとロウソク立て(燭台)でした。ほんのり灯ったぼんぼりの様子から「ほんのり」→「ぼんぼり」と、言葉が転化したという説があります。なぜぼんぼりがあるかというと、江戸時代には、結婚式は夜間に行われていたからです。ぼんぼりに明かりを灯さないと見えなかったのです。
ぼんぼりについてはこちらのページでも詳しく解説しています。
三方、三宝
一般的には、三方に神事で酒を入れる器の瓶子(へいし)がのっていて、その瓶子に水引で飾られた熨斗(のし)を差します。熨斗には紅白梅の花がついています。
現在のように、雛人形に飾られるようになった由来については、これといったものはないようです。
高坏(たかつき)
高坏は身分の高い人へ献上する際に使われる器です。高坏に乗せる紅白のお餅はそれぞれ太陽と月を象徴しています。お餅の代わりに、お菓子の場合もあります。
お膳、菱台
菱台は菱餅を供える菱形をした台です。三段に重ねられた菱餅はそれぞれ雪の白、邪気を払うよもぎの緑、桃の花のピンクを象徴しています。
桜橘
京都御所の左近の桜、右近の橘という御所にある木が由来です。桜と橘には古来から「魔除け」と「邪気払い」の力があると考えられていました。また、橘には「不老長寿」を願う役割もあるとされています。
嫁入り道具
雛道具には箪笥(たんす)、長持、鏡台、針箱、衣装袋、火鉢、茶道具があります。雛人形は、結婚式を模しているので、嫁入り道具を飾ります。
お駕籠、重箱、御所車
大名の姫君の御輿入れを表しています。お駕籠(おかご)は、昔の大名あるいは高貴の女性が使用した乗り物、重箱は食べ物を入れる道具、御所車は昔の貴人が使用した乗り物です。
毛氈(もうせん)
雛人形の下に敷かれている布を毛氈と呼びます。赤は活力、生命力を表す太陽の色です。また、赤は魔除けの意味も持ち合わせています。そのような意味があることから、家の中に神聖な場所を作り神様に来てもらう場所を作るために敷きます。
毛氈についてはこちらのページでも詳しく解説しています。
購入する前に知ってほしい!雛人形の種類
雛人形には色々な種類があります。解説しながら紹介していきます。購入する前にどんな種類があるのか知っておくと、検討しやすくなります。
親王飾り
親王飾りは、男雛と女雛のセットです。
写真は、藁胴(わらどう)に手足を付け華やかな衣装を着せ、頭(かしら)を差した衣裳着人形です。
三段飾り
三段飾りは、親王と三人官女のセットです。お道具も、お駕籠、重箱、御所車などが飾られ、華やかさが増します。飾り台に高さがあるので、直接床に飾ることができます。
収納飾り
親王のセットですが、こちらは飾り台が収納スペースになっており、人形や道具などが飾り台に収納できるタイプです。コンパクトに収納できるので、近年では人気があります。飾り台に高さがあるので、見栄えも良いです。
収納飾りについてはこちらのページでも詳しく解説しています。
立ち雛
親王のみで、コンパクトなセットです。飾る道具も少ないので飾り付けが簡単です。
そして歴史が深く、格式高い人形です。また、シンプルでおしゃれなので大人にも人気があります。
木目込人形
木目込とは、桐の粉と糊を混ぜたものや、成型したボディに溝を彫りそこに金襴(きんらん)などの布地を入れ込んで着せ付ける人形のことです。目は細い毛筆で書き入れるものが多く、優しい表情が特徴です。比較的コンパクトに飾れるサイズが多く、近年では人気のタイプです。
七段飾り
親王、三人官女、五人囃子、随身、仕丁の十五体の人形と嫁入り道具などが揃っています。古来より、七という数字は縁起の良い数字とされています。別名「十五人飾り」とも呼ばれています。
自由に組み換えできる、雛人形の専門店は倉片人形
倉片人形は、埼玉県所沢市で雛人形を作り続けて180年の歴史ある節句人形店です。同敷地内に制作工房があり毎日雛人形を制作しております。
倉片人形の店舗では300種類以上のお雛様が展示されており、その規模は全国最大級なことで有名です。
倉片人形では、雛人形や飾台、屏風を自由に組み替えて購入することができる「カスタマイズ販売」に力を入れております。
一生に一度の大切なお守りですので、妥協のないお雛様選びをしていただきたいという思いからカスタマイズ販売を行っています。
また遠方で来店が難しい方にはLINEのやりとりでもカスタマイズ販売をご案内できますので、まずは一度お問い合わせくださいませ!