五月人形は何歳まで飾るべき?昔の風習から現代における目安まで解説

五月人形は何歳まで飾っておくべき?

五月人形はお子様の「身代わり」のお守りとして飾ります。飾り始めは、多くのご家庭でお子様が生まれて初めての節句を迎える「初節句」に飾ります。では、五月人形は何歳まで飾れば良いのでしょうか。歴史も含めて解説していきたいと思います。

何歳まで飾るという決まりはない

鎧や兜を飾ることは、武家社会から生まれた風習です。身の安全を願って神社にお参りするときに、鎧や兜を奉納していたことが由来となっています。鎧や兜は「戦う道具」ではありますが、武将にとっては自分の身を守る大切な道具であり、シンボルとしての精神的な意味がある大切な宝物でした。

現在では、鎧や兜が「身体を守る」ものという意味で、交通事故や病気から大切な子供を守ってくれるようにと願いを込め「身代わり」として飾ります。「身代わり」という意味を考えると、何歳まででも「身代わり」として守ってもらっても良いでしょう。

ですので、五月人形は何歳まで飾るという期限はないのです。決まりがないということで、いつまでも飾るというご家庭が意外と多くあるようです。

「中学生ですが、兜は飾るのが簡単なので毎年飾っています」

「子供がもう20歳ですが家にいるので飾ってます」

「季節を感じられるイベントなので飾るようにしています」

「子供が自立して家を出ていますが、寂しいので飾っています」

「子供の兜と一緒にパパの兜も飾ってますよ」

「子供は今、大学生ですがまだまだ守ってもらいたいので今だに飾ってます」

「生まれてすぐから飾っているので毎年飾らないとなんか気持ち悪いです」

「飾るのをやめるタイミングが分からず、成人してるけど家にいるしまだ飾ってます」

このように、様々な理由で長い間に渡って飾っているようですね。

外飾りの鯉のぼりも何歳まで飾るという決まりはありません。お子様が成長していくとこいのぼりを外に飾ることが恥ずかしいと思うようになることもあるようですので、お子様が喜んでくれるうちはぜひ飾ってあげてください。

奈良時代は何歳まで飾っていた?

奈良時代以降、元服という「子供から一人前の大人になる」儀式が行われていました。現在では大人の節目は「成人式」で20歳ですが、元服はもっと若い11歳から16歳の間に行われていました。

当時の男の子は「総角(あげまき)」という、左右の髪をそれぞれの耳の上で丸く結った髪型をしていました。儀式では、髪を頭上で結い烏帽子(えぼし)や冠を着けます。

衣類は、「闕腋(けってき)」といって両脇の下を縫い付けないで開けたままの服から、「縫腋(ほうえき)」という両脇が縫い合わせてある服に変わります。烏帽子も成人男性には欠かせないアイテムでした。

当時は、元服することで「一人前の男性」として扱われるようになったので、一人前になったら「身代わり」になる五月人形はもう必要ないということで元服を境に飾らないものと考えられていました。

五月人形を飾ることをやめる時期の目安

お子様が成長すると、住環境が変わったり、生活スタイルも変わり五月人形を飾らなくなることもあると思います。また、地域や家系によって風習がある場合もあります。

前述したように、奈良時代は元服を行った後から飾らなくなったという歴史に習うと、成人式が終わったら飾ることをやめるのも良いかもしれません。

では、飾るのをやめたご家庭は、どのような時期にどのような理由でやめたのか、お子様の節目ごとに声をまとめてみました。

七五三まで

この時期はまだ飾っている家庭は多いです。五月人形を飾る意味を踏まえると、まだまだ成長過程ということもあって、ご両親の五月人形に対する意識も高い時期です。

「子供がまだ喜ぶし、季節のイベントだから家族で楽しみたい」

「飾るのをやめるのにはまだ早いし、子供の頃のイベントは大人になってからも思い出になるからまだ飾ります」

「幼稚園のお友達の家でも飾ってて、うちだけ飾らないのはかわいそうだから小さいうちは飾ります」

中学校や高校卒業まで

お子様が五月人形に興味を持たなくなるのはこの頃が多いそうです。周囲でも飾らなくなる家庭が増えてきて、だんだんと飾らなくなるようです。

「子供も大きくなって飾る場所がなくなったから中学卒業を節目に飾るのをやめちゃいました」

「子供も興味を持たなくなったし、忙しくて忘れる事もあってだんだんと飾らなくなっていきました」

「高校卒業まで飾ってました。高校卒業したらもう大人かなって思ったので」

「子供が中学生の時にママ友に聞いたらもう飾ってないよと言われたから、うちも中学生のときに飾るのやめちゃいました」

「中学生になってからそろそろ飾るのをやめようかなと思っていて、中学校卒業という節目なら気持ちにも区切りを付けられるから中学卒業してからは飾っていません」

一人暮らしをして自立

お子様が家から出て自立することが節目と考えるご家庭が多く、お子様の成長を一番感じる出来事だそうです。

「自立したら、あとは自分で頑張れ!という意味もあって兜は人形供養しました」

「家にいないのでもう飾らなくていいかなと思いました」

「自立したので兜の役目はもう終わったのかなと考えて、今はもう飾っていません」

「自立=大人だと判断して家を出たことを区切りに飾るのをやめました」

「何歳まで飾るという決まりはない」というと、悩んでしまいますが、お子様の成長を感じる時はそれぞれのご家庭ごとに違います。五月人形を飾る意味を改めて知り、その上でご両親の判断で決めてみてください。

飾り終えた五月人形は供養することがおすすめです

お子様の身代わりとなって災厄を引き受けてくれた五月人形は、役目を終えたら人形供養をしてください。

厄が入った人形を一般のゴミと一緒に処分することや、他の人へ譲るというのは五月人形の意味を考えると適切とはいえません。

人形に対して「今まで守ってくれてありがとう」という感謝の気持を込めて、ぜひ人形供養をしてあげてください。

人形供養は多くの地域で行われています。神社に直接持って行く場合や、受付をしている人形店もあります。

人形供養についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

人形供養