五月人形の価格の違いはどこにある?節句人形専門店がポイントを解説します

五月人形(鎧、兜)を購入する際、「同じサイズの兜なのに価格が全然違うのはなぜ?」「この小さい兜より隣の大きい兜の方が安いのはなぜ?」などと価格に疑問を感じる方は多くいらっしゃると思います。

五月人形は、大きさと価格はあまり関係ありません。小さいから安い、大きいから高いということではないのです。安いも高いも理由があります。

こちらでは多くの方が疑問に感じる「価格の違い」に注目して、どういった部分が価格に影響しているのかを解説していきたいと思います。

価格に影響してくる部分とは?3つのポイントを紹介します

価格に影響してくる部分は大きく分けて3つあります。

  1. 素材
  2. 職人の技術
  3. 手間と時間

良い素材、熟練した職人の技術、どれだけ手間をかけて作ったかで価格が決まるということなのです。

中でも素材は、価格に一番影響する部分と言っても良いでしょう。高級素材を使用していれば価格は上がります。また鎧や兜の素材などのセールスポイントは、作札に表示されていることが多いです。それでは兜の各部品ごとに解説していきましょう。

小札(こざね)

小札とは鉄、革、和紙などでできた小さい片のことです。これを組紐(威糸)で綴り合わせた威(おどし)といわれるものが鎧、兜の基本となります。数百枚の小札を1枚1枚貼り合わせる作業はとても根気がいります。

しかし、この小札はごく一部の高級品の場合に限ります。一般的には「型抜き」です。小さい片を繋げて1枚にした状態を「型抜き」するのです。

鎧によっては「極細小札」といって小札が大変細かくできているものがあります。一領分の威を完成させるには大変な時間と集中力を要します。一領につき約15時間以上かかることもあるそうです。

小札の表面の加工は基本的に金箔押し、鍍金(メッキ)、漆塗り、塗装の4種類です

本金箔押し

「本金箔押し」は小札に純金の箔を貼ったもので、高級品ということです。長年飾っても色の変化が少なくサビも出ませんし、重厚さも変わりません。形を崩さず均一に箔を押せるようになるには、少なくとも十年はかかると言われています。熟練した職人の技術が光る部分です。

出典:平安住一水

鍍金(メッキ)

「鍍金(ときん)」といわれる技法でムラがなく仕上がり、箔押しと比べると比較的手間はかかりません。

漆塗り

黒い小札は「漆塗り」です。漆は他に「白檀塗」があり、小札の裏に金箔押しをして、その上に透き漆を塗る塗装法のことをいいます。こちらは乾くとアメ色に金が浮かび上がります。

「白檀塗」で小札が波打っているものは薄塗り、平らで厚みがあるものは厚塗りをしていて重厚感があります。(写真は「薄塗り」)

また、全ての列の小札に厚塗りの「白檀塗」がされている兜を「総裏白檀塗」といいます。こちらは最高級のランクに位置付けられています。

塗装

「型抜き」の小札はほとんどが「塗装」です。量産品は主に吹き付け塗装をしています。

威糸(おどしいと)

威糸とは小札板を綴る組紐のことです。主に高価な正絹が使われていますが、中には化学繊維の糸を使用しているものもあります。

鍬形(くわがた)

手で持ってみるとよく分かるのですが、軽いのはアルミで重いのが真鍮や銅板です。型抜きもありますが、こだわっている兜ですと、糸鋸で挽き、面取りをして本金鍍金を施している鍬形もあります。

また、前面に松葉模様が刻まれている鍬形があります。その松葉模様を機械で打っているものと、職人の手打ちで製作しているものとでは、こちらも価格に差が出ます。

兜鉢

兜のヘルメット部分を鉢といいます。鉢を作る方法には、プレスして型抜きする「抜き鉢」と、台形の小さな鉄片を星といわれるビスで矧(は)ぎ合わせる方法の2つがあります。この矧ぎ合わせたものを「矧ぎ合わせ鉢」や「合わせ鉢」と呼びます。(写真は「矧ぎ合わせ鉢」)

「抜き鉢」では金属やプラスチックが使われますが、ケース飾りはほとんどがプラスチックを使用しています。

「抜き鉢」よりも「矧ぎ合わせ鉢」の方が手間もかかりますし、高級品になります。

表側だけでなく裏側にも注目してみましょう。飾っているときには見えない部分にも手間をかけ、こだわって作っている兜とそうでない兜とでは、やはり価格にも違いが出てきます。

例えば、裏側の加工で布が貼ってあるものよりは、皮で仕立ててあるものの方が価格は上がります。刺し子が施されているものもあるのですが、こだわりを感じますし細かい作業で手間もかかっているので価格に影響してきます。(写真は皮仕立て)

木彫箔押竜頭

竜頭は兜の前面にある飾りです。竜だけでなく色々な形がありますが、特に竜が1番使われているようです。竜は中国の架空の動物ですが「天に昇って雨を降らす」と信じられており、大変縁起の良い動物です。

プラスチック製やアンチモニーという金属製のものがありますが、高級品は木材を竜の形に彫り、金箔押し仕上げをしてあります。

全体的に丸みがあるものやウロコの模様が細かいほど、手間がかかり職人の高い技術が必要となってきます。精巧な彫刻は妥協を許さない職人の技から生まれるのです。

型抜きしている竜頭もありますが、やはり木を彫って箔押し仕上げをした方が高級品となります。

五月人形はどこで買うべき?節句人形専門店で購入するメリットを紹介します

上記で解説した内容は、お店で見るだけでは分かりづらいかもしれません。勝手に触るわけにもいかないと思います。そこで、購入するお店選びが重要になってきます。

やはり一番のおすすめは節句人形専門店です。専門店は、商品の種類が豊富で、価格の幅広さも魅力です。また、節句人形の知識が豊富な販売員から接客を受けられますので、分からないことも質問しながら選ぶことができます。

量販店では、知識のある専門の販売員がいない場合がほとんどです。普段あまり目にする機会のない五月人形ですので、知識のない方は多いかと思います。しかも高額の商品になりますので、詳しく説明を聞いて吟味したいと思うのではないでしょうか。

兜の部分ごとの素材や加工の仕方なども聞いて、兜鉢の裏側も見せてもらうと良いでしょう。

購入後のアフターサービスも充実しているお店も多くありますので、修理が必要な場合の対応なども安心できます。

自由に組み替えできる、節句人形店は倉片人形

倉片人形では、250種類以上の五月人形を店内に展示し販売しています。さらには、選んだ鎧や兜、鎧着大将などをお好きな飾り台や屏風と組み合わせることができる「カスタマイズ販売」に力を入れています。こちらは「我が家だけのオリジナルのセットを作れる」と大変人気のサービスです。

(一社)日本人形協会認定の資格者である節句人形アドバイザーも在籍していますので、どのように選べば良いのか迷っているお客様には購入のアドバイスをさせて頂きます。どんなことでもご質問ください!

また、遠方で来店の難しい方にはLINEのやりとりでもカスタマイズ販売をご案内できますので、まずは一度お問い合わせくださいませ!